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梨木香歩著「冬虫夏草」を読み終えて

7/8

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誰かに話したくてうずうずして、友達に面白かった本の事をメールしたら、4年前に読んでいてあれこれを書いた物があるからとわざわざ郵送してくれました。写真はその「このはや通信」

私の感想を残しておきます。同じ好みの方がいらしたら是非ともお勧めしたい本。(小説の舞台を巡りたいので、その時の為の記録として)

梨木香歩さんの「冬虫夏草

居なくなった忠犬ゴローを探しに鈴鹿に向かう主人公綿貫。
今から100年ほど前の時代設定で河童や竜神、赤神山の天狗、岩魚の夫婦の宿と少し前までは生活と共存していたような神や超自然が普通に受け入れられる世界観。

舞台は永源寺辺り、存外身近な場所という事で地名が出てくる度にスマホで地図検索wこれが楽しい。

まずは、能登川駅から山を目指して歩くと愛知川に行き当たる。川沿いを歩き永源寺を目指す。御幸橋、鯰江村(一度水害が起こるとナマズがのたくるような沼地になるから付いた地名)、竜ヶ岳から四方に流れる宇賀川は白竜、青川は青竜、田光川は黒竜、竜の管轄で守っていると言う。しかし愛知川を守るべき赤竜がこの地を留守にしている。天湯河桁命(御河辺神社)はこの留守を守っている、例祭の時は瀬田の唐橋竜神や湖の姫神もやってきて一時しのぎで何とか千年の間守っている)
瀬田の竜神は萱尾の大滝の淵の辺になる枇杷の実を目当てにやってきていたとか。

イワナ竜神の眷属

地名の如来の由来(本田善光が善光寺を開く前、難波から三尊仏を背負ってこの地を通りかかり、ここで一夜を明かされた。三尊仏を置いていた石が光り輝くようになったので、阿弥陀如来を、彫られて祀った、その故です。事実かどうかはさて置き、妙に得心がいく。そしてこんな由来話は大好物)
地蔵がたくさんあるのは愛知川の氾濫がある度に子どもの餓死者がたくさん出た供養だとか。その地蔵に小豆飯(椿の葉に盛る)を備える。

高野、千種街道で全住房が信長を狙撃した場所の話。信長が滋賀で狙撃されていた史実を小説で知るw

木地師は惟喬親王から轆轤の技術を伝授された杣人(そまびと)の子孫で、山の民のなかでも誇り高いので有名だとか。

サカキは人界と神界の境を分ける、と言う意味で、サカキ、と名がついたのだとか。

小倉実澄
しきろの滝
タブノキの実で油をとる話

鈴鹿へ行く道々、佐目、君が畑、白鹿背山など地元の地名や山、神社が出てきたり、章ごとに花や木など植物の名が付く、ワクワクしかない😊

永源寺の近くにたくさんの城跡がある事初めて知る

巻末の解説が内山節
そう言うと家に本があるよとダンナが。読んでみようと思う 里山資本主義
解説も本当に面白い!

一部抜粋
森と共に暮らし続けた村人が、みている森と、私が見ている森は異なっているのである。気がついてみると、人間たちは誰一人として、自分と同じ世界をみていないのである。その意味で、世界は多様に存在している。

小説「冬虫夏草」は永源寺ダムが出来る前、水に沈んだ村村に住む人たちの暮らしが描かれているから、切ない様な気持ちにもなる。沢山の人家が沈むのでダムも反対運動が起こり、ダムが完成するまで20年掛かったとか。完成は1972年。この辺りのことは書かれてない。読後ウィキペディアで読む。
ただ河桁という表現でダムが建設されるかもと言う話が出てくる。しかしダム建設も農民の水不足による争いが絶えず、灌漑用ダムとして必要だった為であるが。

いつか永源寺奥のあちこち巡りたい。涼しくなってからかな。

#実は家守綺譚の続編だったので読む順番逆になった